【サイコロ相談室】第六話 ツイてない!
最近、仕事で大きなミスをするわ、彼とはけんかして破局寸前だわで、最悪の状態に陥っています。なんとか挽回しようと、もがけば、もがくほど逆に深みにはまり込んでいくようです。長い人生こんな時期もあるのはわかっています。でも、ほんとうに「ツイてない!』って感じなのです。これはやはり、自分の行いが悪いのでしょうか? こんな事態から切り抜ける方法があったら教えてください。
ツキは頼るものじゃなく、自分で呼び込むものである。
オレの大学時代の友人でサルワタリというのがいるが、こいつのツキの無さはスゴかったので、一部紹介する。大学に入ってすぐ、サルはパッソーラという原チャリを買ったが、半年後に盗まれてしまった。この際だからとサルは中型自動二輪の免許を取り、400CCのバイクを買ったまではよかったが、初乗りで転倒し、足を負傷しバイクも壊れた。怪我も治り、バイクの修理部品も届いて明日からまた乗れるというその日の深夜に、サルの壊れたバイクは駐輪場から忽然と姿を消した。サルとおなじマンションに住む、友人コイケが不審なニ人組がバイクを押していくのを目撃していたが、寝ボケていたコイケは夢かと思ったという。
仲間を集めて大捜索が始まり二日目ついにサルのバイクは見付かった、それは400CCではなく、以前盗まれたパッソーラだった。「今頃、埠頭の海底だろ」 という大方の意見で捜索は打ち切られ、 サルはしばらくパッソーラでガマンすることにした、しかしまた盗まれた。 あまりに可哀相に思った友人ホンダが オンボロのタクトをプレゼントしたが、 2か月後にまた盗まれた。サルは「バイクを5度盗まれた男」と呼ばれ、大学でもちょっと有名になった。そしてサルはパチンコやマージャンなどあらゆるギャンブルに関しても天性のツキの無さを遺憾無く発揮し「見切り千両!」という訳わからない捨てぜりふを残して3年半ばで中退したのであった。
正当な努カは必ず報われる、と信じている人間に限って『ツキ』とか『運』 を無視する傾向があるが、絶対に上にいけないタイプだ。 君の場合、仕事のミスは自分の責任だが、その原因が、昨夜彼が明け方まで寝かせでくれなかったことが起因での寝不足であれば、君にとって「仕方ないミス」という言い訳が成立する。 自分のミスはミスと認めるが、それはこれこれのわけがあったからで、これから挽回すればいい、と考える人がプラス思考で、素直の反省してショボクレる人がマイナス思考である。プラスはツキを呼び込み、マイナスはツキを落とす。
ギャンブルをやる人間はツキや運に敏感である。ツキを落とすきっかけになるボイントを見付け、同じミスを繰り返さないことも大事だが、ツキの無い状態の時の凌ぎ方に差が大きく出てくる。素人とプロの違いはここなのだ。 悪い展開の時に熱くなる奴、卑屈になる奴は必ず自減する。自分で自分の首を締めるようにどんどんドツボにはまる。君は今間違いなくドツボモードに突入しているが、こんな時こそ冷静に客観的に起きる現象の因果関係を分析して、できる範囲で対処していれば、 いずれ事態はあるポイントを境に反転するだろう。
一つ、ツキを呼び込み簡単な方法を教える。とにかく周りの親しい人に何かをおごったり、プレゼントしたりして自分の金を使う、その時 「もったいない」と思ったら君の負け、 「喜んでくれて良かった」と微笑むことがでれば勝ち。ケンカの彼にも腕時計のーつでも贈ってみる、「こんなもの、 今さらいるかー」と言われても、そこはガマンで様子を見る。もし脈があるなら彼の方からリアクションがあるは ずだ。人を喜ばすことは自分の感情をフラット以上にする効果がある。怒り、 妬み、嫉妬などの感情は、確実にツキを落とすことを忘れないように。(H)